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【テーマ別ハウス】ハウス紹介 ―先住民学ハウス―

国際教養大学では、キャンパス内での生活もリベラルアーツ教育の一環と捉え、日常生活の中でもさまざまな学びを促すことを目指し、「テーマ別ハウス」を導入しています。共通のテーマに関心を持つ学生たちが同じ学生宿舎で生活しながら活動を行うもので、テーマ別ハウスのメンバーは、1学期もしくは2学期間の共同生活を通じて、テーマに沿ったイベントの企画?運営に取り組みます。

今回は6つあるハウスの中から「先住民学ハウス」について、学生とアドバイザーの先生へのインタビューを通じて紹介します。

主な活動目的

先住民学ハウスの活動の目的は、世界中の先住民の歴史や文化を深く知ることです。多くの先住民は歴史の中で文化的同化や伝統の消滅などの危機に瀕してきましたが、私たちはその過程を理解し、先住民学についてより深く学ぶために活動しています。さまざまな先住民の文化の魅力を見つけ、自分たちの世界観を広げていきたいと考えています。

主な活動内容

春学期にはアイヌ民族、琉球民族、ハワイの先住民に関するイベントを行いました。テーマの一つとして、食文化がその民族が住んでいる環境、それぞれの民族の精神、アイデンティティを表していることに注目し、料理に焦点をあてたイベントを行いました。それぞれの民族の料理を作り、ハウスのメンバーだけでなく友人なども招き食事会をしながら、先住民族について学んだことも広める企画でした。

イベント「ハワイ先住民&琉球民族」の様子。ハワイと琉球の料理を作って食べました。
イベント「ハワイ先住民&琉球民族」の様子。ハワイと琉球の料理を作って食べました。

また、アイヌの方をお招きして講演会を開き、アイヌの言葉、食べ物、歴史、伝統的な踊りなどについて学びました。このイベントでは、アイヌ文様の縫い方を教えていただく機会もあり、参加者は刺繍をしながら、ゲストとの交流を楽しみました。

イベント「アイヌ文化講話」アイヌ文様刺繍体験の様子(ゲスト:宇佐 照代 氏)(写真提供:AIU祭実行委員会 TECH部)
イベント「アイヌ文化講話」アイヌ文様刺繍体験の様子(ゲスト:宇佐 照代 氏)(写真提供:AIU祭実行委員会 TECH部)

秋学期には、オレンジシャツを着て「オレンジシャツデー」のイベントを行いました。「オレンジシャツデー」とは、特に北米の先住民族が寄宿学校に強制的に連れていかれ、同化させられた歴史を振り返るための日です。オレンジシャツを着ることで、友人や先生と、先住民の歴史について会話をするきっかけになりました。

学生インタビュー

Q. 「先住民学ハウス」を一言で言うと、どんなハウスですか? 

浦崎 ちひろさん(学部生):先住民族の人々や文化について、知見を広げるハウスです。

Q. 「先住民学ハウス」はどのようなメンバーで構成されていますか?何か特徴はありますか?

橘 真名さん(学部生):今学期、このハウスは学部生7名と留学生2名の計9名で活動しています。それぞれがいろいろな先住民の文化や歴史に興味を持っていて、中には実際に先住民にルーツを持った学生も参加しています。メンバーは性別や学年に関係なく集まっており、先住民学についての学びを深め合っています。

Q. メンバー同士でどのように交流していますか?

石山 結月さん(学部生):日常生活では定期的に料理会を開き、お互いの国の料理を持ち寄って一緒に食べています。一緒のユニットに住んでいるため、普段から共有スペースで話をしたり、ご飯を食べたりすることも多いです。また、休みの日は寿司屋や温泉、カラオケや近くのイオンモールなどに遊びに行きます。テーマ別ハウスの活動では、琉球、ハワイ、アイヌ料理を作り、文化背景についてプレゼンをして学んでいます。

Q. ハウスのイベントや交流で一番印象に残っていることを教えてください。

川島 美桜さん(学部生):一番を決めるのは難しいですが、私の考えを変えたイベントは「オレンジシャツデー」です。このような日があることや、寄宿学校の歴史について学ぶのは今回が初めてでした。私のユニットメイトのサバンナはネイティブアメリカンにルーツを持っており、寄宿学校の歴史について彼女の経験を交えて話してくれました。私はそれまで先住民について学んでも、自分に関連することとして捉えることがあまりできませんでしたが、彼女の経験を聞いて、もっと先住民について学びたいと思うようになりました。

イベント「オレンジシャツデー」の様子。「児童虐待防止」というメッセージが込められているオレンジリボンを配布しました。
イベント「オレンジシャツデー」の様子。「児童虐待防止」というメッセージが込められているオレンジリボンを配布しました。

Q. これからハウスへの応募を考えている学生へ一言お願いします。

島村 凱開さん(学部生):先住民学ハウスでは、私たちが社会の中でどのように、そしてなぜ今いるところにたどり着いたのかルーツを学ぶことができます。多くの人々は「先住民」を遠く離れた異質な存在と捉えがちです。しかし、さまざまな活動に参加することで、異なる文化や人々の在り方を肌で体感しながら、その歴史を学ぶ機会が得られました。私たちはこのような知識が、世界をよりよくするために必要だと信じています。ともに悠久の時を旅したい方は、どなたでも大歓迎です。

アドバイザーインタビュー(先住民学ハウスアドバイザー:ノア?ケオネ?ヴィエルネス 准教授)

Q. アドバイザーから見た、ハウスの特徴を教えてください。

ヴィエルネス 先生:多様な文化や歴史的な出来事に気づき意識を向けることがこのハウスの特徴です。メンバーは、先住民学というテーマについて積極的に活動しています。
※実際のコメントは英語ですが、ここでは意訳した日本語を掲載しています。

Q. これからハウスへの応募を考えている学生へ一言お願いします。

ヴィエルネス 先生:テーマ別ハウスでは、学生に意思決定の機会が与えられます。これは通常であれば、教員や学生公認団体だけに認められているものだと思います。例えば、セメスターごとに得られる予算を利用して、ゲストスピーカーの招聘や全学に向けたイベントの企画、オレンジシャツデーで着用したTシャツのような、テーマについて学びを深めるための物品購入などが可能です。アイヌ文化講話を開催した際は、公益財団法人 アイヌ民族文化財団がゲストに係る費用を負担してくださいました。そのような場合は予算を他の活動に有効活用しています。テーマ別ハウスは、関心のある共通のテーマを軸に、リーダーシップを育て、コミュニティとして活動する多くの機会に恵まれています。
※実際のコメントは英語ですが、ここでは意訳した日本語を掲載しています。