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学生活動
私の留学レポート:カナダ?ウィンザー大学~南部 柊真さん(2)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生とともに履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生一人ひとりのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、カナダに留学中の南部 柊真さんのレポート第2弾をご紹介します。

留学中に興味深かった授業内容
「Digital Technology in Everyday Lives(参考訳:日常生活におけるデジタル技術)」という授業では、私たちの生活に浸透しているデジタル技術の影響を分析し、進化し続けるコミュニケーションやデジタル?テクノロジーがどのように受容?適応され、日常生活での実践をどのように形成しているかを探求しました。トピックとして、テクノロジーの表象、空間?時間の構成と認識、プライバシー/監視、ジェンダー、労働、先住民コミュニティによるテクノロジーの活用、環境問題など、多岐にわたる視点から議論が行われました。
特に印象的だったのは、「家庭におけるデジタル技術の発展によって生活は便利になったはずなのに、多くの人が忙しさや時間のなさを感じる」という矛盾点についてのディスカッションです。クラスでは、その原因について活発な意見交換が行われ、私も日本の労働文化に触れながら、自国の視点を共有しました。日本は「働きすぎの国」として見られる傾向にありますが、その背景や実情を説明し、異なる文化圏の学生と意見を交わすことで、自分の考えを整理し、伝える力が鍛えられたと感じました。この経験を通じて、テクノロジーがもたらす恩恵と、その裏に潜む社会的課題について、より深く考えられるようになったとも感じています。

多文化主義のカナダで学ぶ日本人として
日本人学生が少ない環境であったため、自己紹介で「日本から来た」と伝えるたびに、相手から興味や好意的な反応を得ることが多かったです。アニメや寿司、礼儀正しさといった一般的な日本のイメージだけでなく、日本の文化や価値観そのものに関心を持つ人が多く、これまで当たり前だと思っていた自国の文化が海外では特別なものとして捉えられていることに気づきました。日本の良さを客観的に捉え直すことで、自身のアイデンティティへの誇りも強くなりました。
留学当初は、多文化社会であるカナダだからこそ、それぞれの文化の持つさまざまな価値観や生活スタイルに順応することが重要だと考えていました。しかし、次第に「必ずしもすべての文化に自分の生活を合わせる必要はない」ということに気づきました。実際、日本人らしい礼儀や控えめな態度が相手に好意的に受け取られる場面も多く、異文化に適応することだけが「正」ではないと実感しました。「日本人として自分がどのように振舞うか」それは単に異文化を受け入れるだけではなく、多様な文化が共存する世界でどのように自己を表現し、いかに他者との関係を築いていくかを考えながら行動するかという問題であり、その重要性を学びました。これらの点に気づいてからは、自身の意識や振る舞い、相手とのコミュニケーションにおける心がけが良い方向へと変わっていったと感じます。
一方で、多文化環境では、自分の意見をはっきりと伝えなければ相手に理解してもらえない場面も多々あります。最初は自信がなかったのですが、たとえ拙くても積極的に英語を話し、自分の考えを伝え続けることで、次第に周囲からも受け入れてもらえるようになりました。言語能力以上に「伝えようとする姿勢」が大切であることを実感し、日々の交流を通じて少しずつ自信をつけています。

「本気」の留学の正体
もちろん、留学は決して簡単なことではありませんでした。特に苦労したのは、英語力の壁と授業の難しさです。ウィンザー大学の授業は想像以上に高度で、専門的な内容を英語で理解し、ディスカッションに参加することは、AIUで経験したよりもはるかに難しかったです。しかし、AIUで培ったスキルがここで大いに役立ちました。膨大な課題を効率的にこなす方法や、ディスカッションで論理的に意見を述べる力は、AIUでの学びを通じて身につけたものであり、留学先の授業にも適応する助けとなりました。

ヨーロッパで過ごした特別な年末年始
留学中の冬休み(12月23日~1月7日)の約2週間は、ヨーロッパを旅行し、特別な年末年始を過ごしました。この旅では、ヨーロッパに留学していたAIUの友人と合流し、オーストリアやチェコのクリスマスマーケットを巡りました。華やかなイルミネーションと伝統的なマーケットの雰囲気に包まれながら、現地の文化や歴史を体感することができました。日本のクリスマスとは異なり、宗教的な意味合いが色濃く反映されていることが印象的でした。
さらに、留学先の大学で出会ったドイツの友人の家に招かれ、New Year Partyに参加しました。異国の地で迎える新年は、日本とは大きく異なる雰囲気でした。カウントダウンの瞬間には、街中で花火が打ち上げられ、歓声とともに新年を祝いました。家庭的な雰囲気の中で友人たちと語り合いながら、文化の違いを実感するとともに、国境を超えたつながりの大切さを改めて感じた時間でした。
異なる文化の中で年末年始を過ごしたことで、日本の習慣との違いを肌で感じる貴重な経験となりました。同時に、海外で築いた人間関係がこうした機会を生み、異文化理解を深めるきっかけとなったため、改めて留学中の出会いに心から感謝しています。

国際センターから一言
留学と言えば「郷に入れば郷に従え」とよく言われます。もちろん、ある程度は現地の習慣を尊重しその国の法律や暗黙のルールに従って振る舞う必要がありますが、南部さんが実感した通り自分の価値観や生活スタイルを完全に現地に合わせる必要はありません。カナダは多文化の国で、さまざまな価値観、生活スタイル、信念、自己主張方法が混在しているからこそ魅力的な留学先です。異文化体験というのは、どの文化が最も「正しい」かを確認するということではなく、異なる視点を学び、平和な社会を構築するための多元主義と寛容することの重要性を発見することでもあるかと思います。AIU生が留学先でさまざまなことを学ぶと同時に、日本から留学に来たAIU生という存在が文化の多様性を高め、気づかない内に周りの方々に新たな発見を与えている場面もあるかもしれません。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。